声の業界を目指す学生さんの通うあるスクールさんで、模擬授業をさせて頂きました。発声や滑舌の基礎〜課題ポエム〜自由課題での講義だったのですが、教えることは学ぶこと。礼儀正しく真っ直ぐな生徒さん達に恵まれ私自身が1番楽しい時間を過ごさせて頂けたと思っています。学校とももしかしたら深いご縁が出来そうで今後がとても楽しみです。
そうした中、授業では、特に課題のはたよしこさんの詩が素晴らしく大好きになってしまいました。主題は毎詩がパセリ、レモン、玉ねぎ、鏡、時計‥様々なもの。それらを擬人化してその立場から見える世界を純粋で愛情たっぷりユニークに提示する内容に豊かな視点の転換が与えられハッとさせられました。
例えばレモンという詩
《レモン》
レモンは
遠くへ 行きたいのです
うすく切れば
それがわかります
うすく切れば
いくつもの 車輪
いい香りをふりまいて
車輪 車輪 車輪
レモンは
遠くへ行きたいのです
今まで考えたこともなかったレモンの新しい見方が提示され、そのものをより身近に愛おしく感じられます。詩を豊かに音読する際はまず主題や作者の理解、次に作中のシーンをありありと描き感じていくことが欠かせないのですが、はたちさんの詩は読んでいてワクワクする驚きに満ちており全ての作品を味わいたくなります。
また詩集の素晴らしい以下のあとがきにも目を奪われました。「人は相手の気持ちになって考えることは苦手です。ところが相手の気持ちになるということは逆に自分自身を見つめ直してみる事ではないかと考えるのです」詩中の主題を通じて人の内面を掘り下げる優れた作者を知るキッカケにもなり‥このスクールさんとの出会いに改めて感謝したいです。
帰りはすっかり日も暮れ‥NTTドコモの時計塔の綺麗なライトアップを見ながら帰路に着きました。