【話芸の発表会】

先日、新宿区のホールにて、名活弁士・佐々木先生率いる活弁の発表会で私は松竹キネマ蒲田作品昭和4年制作〈親〜父の願い〜〉を語らせて頂きました。

個人的な話になりますが、このフィルムが制作されたのは、まもなく一周忌を迎える我が祖母・齋藤はるの1歳当時にあたります。
おばあちゃん子の私は、古いモノクロフィルムを扱う活弁という無形文化の話芸と出会って以来、観劇の際は、必ず、『これは祖母が何歳の頃の作品だったのかな?当時はどんな時代、風景で、どんな着物を着ていたのかな、青春時代の祖母は映画館で活動写真は観たことあったのかな?』と、、なんでも祖母に引き付けて考えては感慨深くなります。

ちなみに活弁の事を少し説明すると、テレビも娯楽も無かった大正期〜昭和初期にサイレント映画人気とともに発達した話芸。
当時の日本の芸能界の長者番付は弁士が占めていたとの話も。その後、トーキーの台頭により未完の芸術文化として消滅。

現代の活弁士さんの活動や今回のようなイベントは、消滅したその貴重な無形文化芸術を掘り起こす活動でもあります。

また活弁には決まった台本はなく当時『主観型』『客観型』など伝え方についての議論が白熱したそうですが…複数の登場人物の台詞の語りわけ、ナレーションなど…表現力とエネルギーが必要になり凄く気づきや学びが多いです。私はその自由さや可能性に驚き、楽しさと新鮮さにはまってしまいました。

今回出演する人の中には主観型、関西弁で映画の主人公にツッコミを入れながら話すユニークな仲間もいますし、私については、映画の中に、幼い頃の祖母や祖父を実名で登場させることにしました。

100年近く昔のモノクロ映画に没入しつつ…古き良き時代を生きた幼少期の祖父と祖母を回想する時間になりました。

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