出勤前のきょう未明、オンタイムでNNNドキュメントを拝見させて頂きました。
毎回語りに取り組んでいる最中は無我夢中で俯瞰して見られないのですが、放送を観て改めて様々な感想を抱きました。日本では当たり前の権利として認められている裁判や言論の自由を与えられていない中国の様子、そうした中で人の自由や尊厳の為に闘っている勇気ある人権派弁護士が弾圧される過酷な現実が伝わってきました。
VTRの中に5年間拘束された王弁護士が「パンダになった」というインタビューがあったのですが海外メディアの(しかも日本のテレビ局の)取材者の存在が、もっと深刻な結果もあり得た王さん一家を守る抑止力の一つになったかも知れない点、また、妻の李さんが最後まで折れずに活動を続ける支えにもなっていたかも知れない点も番組のもう一つの功績なのではないかと感じました。
また、個人的には、同じ女性である奥様の変化に目を奪われました。
普通の恋愛ドラマにしか興味がなかった女性が、最初は悲しむだけだったのが、怒り、立ち向かい、夫と子供を守り抜いた姿。そして、夫が帰ってきた後、女性の柔らかさ、愛らしい笑顔を取り戻す過程がとても眩しく印象的に映りました。(短髪が似合う凛とした意志の強い眼差しがわたし個人的には、ウォン・カーウァイ監督『恋する惑星』の時の主演女優フェイ・ウォンさんを彷彿させる様にかんじました)
と、長々と番組の感想を書かせていただいたのですが、語りという部分では、まだまだ課題と拙さはあるもののいちナレーターとしては「読み」ではなくはじめて「喋ることができ」、「自意識」を離れて「作品を伝える楽しさのゾーンのようなものを体感できた」忘れがたい作品になりました。
語りの師匠から何度も学んできたことなのですが、伝え手側が内容を心に脳内にありありと描ければ、聴き手の心にも届く事の感覚を掴めかけた得難い機会だったと思っております。
今後、また機会があればお仕事をさせていただきたいのですが、なにより大切なことは《普段からものをよく見て考え、優れた語りに触れ、お仕事に活かすスキルを作る》《どんな時も目標と希望を失わないこと》今回得られた学びを糧に引き続き精進を続けたいと思います。
この場を借りて、緊張でいっぱいの中、たくさんの気遣いもして頂き明るく励まされリラックスしながら臨ませて頂いたプロデューサーさん、ディレクターさん、音効さんなどスタッフさんに改めて心から感謝をお伝えしたいです。本当に有難うございました。
《再放送》
9月6日(日)8:00~ BS日テレ
9月6日(日)5:00~/24:00~ 日テレNEWS24