この1ヶ月ほど台本起こしに取り組んできた『バリアフリー映画会』にて、きのう、語りを担当させて頂きました。普段テレビの生放送に携わっている私ではありますが全く新しいチャレンジです。
①普段はブースの中で
→真っ暗な広いホールで
②独りで
→多数のお客様の前で
③手元のモニターを見ながら
→映画の大スクリーンに向かって
④ ディレクターさんや記者が書いた原稿を
→自分が書き起こした原稿を用いて
⑤ 細かなタイムコード付きTKさんのタイムカウント有りで
→タイムコードがない中
⑥生で(ここは一緒)
⑦ニュースや情報を伝える
→作品の邪魔にならない様にしながら映画の世界観を伝える

餅は餅屋。似て非なる語り方を体験させて頂き勉強になることばかり。弁士歴25年。尊敬する7色の声で表現する佐々木先生に稽古をつけて頂き語ってみると…数多の舞台に立ち続けて無数の映画を語ってこられた先生の表現の豊かさを実感します!
今まで先生の舞台は何度も拝見してきましたが、いざ自分がやって見るととても難しい。
『ストーリーに没入し作品と一体となり登場人物の身体感覚や心情を伝える』『時にストーリーテイラーとして映画シーンに温度を乗せる』『緊迫感を出すための間合い・緩急・メリハリの表現』『物語の伏線や繋がりの回収を助ける語り方』『主体と動詞の伝え方の工夫。映画の邪魔にならない語り方』『音のマイナー音とメジャー音の使い分け』『シーンが切り替わる際の終わりの音の出し方』『言うべきところ、言わなくて良いところの区別』などなど‥。
でも教わって気づきを得て、語りや体感覚が変わっていく感覚、世界感を伝えようと工夫する過程は本当に楽しいです。今回の作品『騙し絵の牙』も出版社や放送局で勤務してきた自分自身に重なる心情も含まれ、セリフの一つ一つ。役者さんの熱演が、心に残っています。

今回嬉しかったのは、ライブ中に、私が工夫した部分などでお客さんが笑って下さったり感嘆の声が上がったりした箇所があった事。普段は語りを視聴して下さっている方のリアクションが全く見えないので、新鮮さと嬉しさで胸がいっぱいになりました。
また、稽古で一つの作品を何度も味わえた贅沢さ。200人ものお客さんと同じ場所・同じ時間を共有できたこと。尊敬する先生と光栄にも語り分けさせて頂いた幸せ。仲間との出会い。どれもがプライスレスな体験価値でした。
視覚障害者の方を中心に様々な方がバリアフリーに優れた映像作品に触れ、会場が一体となり、感動や興奮で心1つになる時間。なんて素敵なんでしょう。私も、エンタメや表現世界を通じて、愛と喜びが社会全体に広がっていくお手伝い。微力ながらこれからも継続していきたいと思っています。